「世界最小の蒸溜所」GinO12を見学してきた|ミラノ・ナヴィリオ運河のジン蒸溜所【訪問記】
「ここは世界最小の蒸溜所。蒸溜するのはジンだけ。スプリッツやウォッカトニックを頼まない限り、あなたはいつでも歓迎です」
ミラノのナヴィリオ運河沿い、絵はがきのような小さな路地にこんな看板を掲げた店があります。その名はGinO12(ジーノ・ドディチ)。広さおよそ4平方メートル、畳にしてわずか2畳半の空間で、本当にジンだけを蒸溜しています。こんにちは、ジン研究家のろっきです。ロンドンの蒸溜所めぐりから10年、今度はミラノで「世界最小」を名乗る蒸溜所を見学してきました。

30秒でわかるGinO12
- ミラノのナヴィリオ地区の路地「ヴィーコロ・デイ・ラヴァンダイ(洗濯女の小路)」にあるジン専門の超小型蒸溜所
- 母体は2014年開業のジンバー「GinO12」。コロナ禍にテイクアウト用ジントニックのため蒸溜を始め、2024年3月に蒸溜所として正式オープン
- 約34種のボタニカルから最大5種を選ぶと、ロータリーエバポレーターで自分だけのジンを1本から蒸溜してくれる(500mlで35ユーロ)
- 紙コップのジントニックを片手に運河を散歩できる。ミラノに行くジン好きなら寄らない理由がない場所
運河沿いの路地に、突然あらわれる蒸溜器
GinO12があるのは、ミラノ観光の定番ナヴィリオ・グランデ運河から一本入った小さな路地です。ナヴィリオ・グランデ運河は石畳の道に洗濯場の跡が残る、ミラノで一番絵になると言われる場所です。日本人はあまり多くいないため、観光の一部として立ち寄ってみるのも面白いです。
小さな路地を入ると奥の方にこぢんまりとカウンターが存在し、店先でジントニックを飲む人が見られます。


店を切り盛りするのは、バーマンでありマスターディスティラーでもある3人組。もともとは運河沿いのレストラン内で「ミラノ初のジンバー」を掲げて100種類以上のジンを揃えていた面々です。ロックダウンで店を閉めざるを得なくなったとき、テイクアウト用のジントニックを作るために小さな蒸溜器を導入したのが、この蒸溜所の始まりだったそうです。
ロータリーエバポレーターが主役の蒸溜所

この店の蒸溜器は、銅のポットスチルではなくロータリーエバポレーターです。理科の実験室にあるような、ガラスのフラスコが回転する装置で、圧力を下げることで低い温度でもアルコールを蒸発させられます(減圧蒸溜)。加熱による香りの変化が起きにくいので、フレッシュなボタニカルの繊細な香りをそのまま取り出せるのが持ち味です。大型のポットスチルが置けない4平方メートルという制約を考えると、ベストな選択なのかもしれません。
基本的には1種類ずつボタニカルを蒸溜し、それをブレンドすることでさまざまな味わいを作っているそうです。減圧蒸溜を使用する場合、ボタニカルによってもっとも香りを抽出しやすい温度を選べることもメリットです。ブレンドによるジン作りが、この蒸溜所が最もボタニカルの良さを引き出せる方法なのかもしれません。
34種のボタニカルから「自分のジン」を組む
GinO12の看板メニューは、カスタムジンの「Crea il tuo Gin(自分のジンを作ろう)」です。柑橘、ハーブ、花、スパイス、果実まで約34種のボタニカルから最大5種を選び、それぞれの強さを指定すると、マスターディスティラーが減圧蒸溜で1本に仕上げてくれます。度数はおよそ45%、500mlで35ユーロ。ラベルも自分で作れます。私が訪問したときは体験できませんでしたが、タイミングが合えばぜひ試してみてください。

既存のジンも、ドライ、ハーバル、フローラル、シトラス、スパイシーと系統別に揃っていて、100mlのミニボトル4本セットで飲み比べもできます。基本的にはロンドンドライスタイルのジンで、すっきりとしたジントニックに合う飲み口が特徴です。

紙コップのジントニックを持って、運河へ

テイクアウトで楽しめるのは紙コップのジントニックです。ロックダウン時代の苦肉の策だったテイクアウトのジントニックは、いまやこの店の名物になっています。グラスでもコースターでもなく紙コップというのは気楽で、ミラノの心地よい気候の中飲むクラフトジントニックはとても爽快です。
蒸溜所見学の楽しみ方や海外のジン事情については、拙著『Gin ジンのすべて』でも詳しく扱っています。
訪問情報
- GinO12, distillery(ジーノ・ドディチ)
- 住所:Vicolo dei Lavandai 2/B, 20144 Milano(ナヴィリオ・グランデ運河そば)
- 営業:火曜から日曜 18:00〜24:00(月曜定休)。予約不要
- カスタムジン:500ml 35ユーロ前後。オンライン注文も可
- 情報は2025年5月時点のものです。おでかけ前に公式サイトでご確認ください
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