ジンというお酒の名前を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、ジンがどのようなお酒なのかを知っている方は、意外と少ないのではないでしょうか。

こんにちは、ジン研究家のろっきです。2013年から同人誌『もっとジンをおいしく飲む本』でジンについて書き続け、2020年には書籍『Gin ジンのすべて』(旭屋出版)を上梓しました。この記事では、ジンというお酒の輪郭を、初めての方にもわかるように解説していきます。

ジンは「ボタニカルで香りをつけた蒸溜酒」

ジンは無色透明なお酒です。アルコール度数はおおむね40度から50度ほど。ビールが5%前後、ワインでも15%弱ですから、かなり高い度数です。そのため、一般的にはトニックウォーターやソーダなど、何かしらで割って飲まれています。

ジンがこれほど高い度数なのは、ウォッカやウイスキーと同じ蒸溜酒だからです。蒸溜とは、アルコールが水よりも気化しやすいことを利用して、熱して出た蒸気を集めて冷やすこと。これによって、度数と純度の高いお酒が生まれます。

ただし、穀物を発酵させて蒸溜しただけでは、まだジンにはなりません。ここからの工程がジン最大の特徴です。

ジュニパーベリー(セイヨウネズの実)を代表とする、香りづけのための植物(草や木の実、皮、根)と一緒に再蒸溜する(あるいは香りを移す)ことで、はじめてジンになります。これらの香りづけの植物はボタニカルと呼ばれます。

ボタニカルの世界は驚くほど広く、コリアンダー、カルダモン、シナモン、レモンやオレンジの皮といった定番から、バラなどの花、山椒や柚子といった和の素材、果ては牡蠣の殻、魚や肉まで使われています。この自由さこそが、近年のクラフトジンブームの原動力です。

ジンの3つの分類

世界にはさまざまなジンがありますが、大きな分類としては次の3つを押さえておくとわかりやすくなります。

  1. ドライジン、圧倒的なシェアを誇る、イギリスで磨かれた主流スタイル。キリッと辛口で、ジントニックやマティーニの土台
  2. ジュネヴァ、ジン発祥の地、オランダ・ベルギーの伝統スタイル。麦の風味豊かで、どこか和む味わい
  3. シュタインヘーガー、ドイツで独自に育ったジュニパーの蒸溜酒。穏やかでやさしい飲み口

いま世界中で作られている「クラフトジン」も、分類するならほとんどがドライジンの系譜です。日本の「ジャパニーズジン」(ROKU〈六〉や季の美など)も同様です。

それぞれの系譜は個別記事で深掘りしていきます。ジュネヴァとシュタインヘーガーについて日本語でまとまった情報は少ないのですが、実は書籍でも1章を割いて解説した、私の好きなテーマです。[内部リンク予定]

ジンの味わいは「香り」で決まる

ジンの味わいを決めるのは、なんといってもボタニカルの香りの設計です。

  • ジュニパーベリーの、森を思わせるすがすがしい香り(これがジンの背骨です)
  • 柑橘系ボタニカルの明るさ
  • スパイス系ボタニカルの奥行き

同じジントニックでも、ジンの銘柄を変えるだけでまったく別の一杯になります。ワインにブドウと産地の個性があるように、ジンには蒸溜所ごとの「香りの設計図」がある。ここがジンのいちばん面白いところだと私は思っています。

まずはどう楽しめばいい?

最初の一歩は、シンプルにこの3つで十分です。

  1. ジントニック、王道にして頂点。まずはここから
  2. ジンソーダ、ジン本来の香りをすっきり感じたいときに
  3. ストレート/ロック、銘柄の個性とじっくり向き合いたいときに

家でおいしいジントニックを作るコツは、別記事で徹底的に解説します。じつは、ジンとトニックの比率や氷の使い方を少し変えるだけで、驚くほど味が変わるのです。[内部リンク:ジントニックの黄金比]

まとめ|ジンは「探求できるお酒」

  • ジンは、ジュニパーベリーを中心としたボタニカルで香りづけした蒸溜酒
  • 系譜は「ドライジン」「ジュネヴァ」「シュタインヘーガー」の3つ
  • 銘柄ごとの香りの個性を飲み比べるのが、ジンのいちばんの楽しみ

次の記事では、最初の一本にふさわしい【定番ジン7選】を紹介します。111本をレビューしてきた経験から、「基準になる一本」を選びました。[内部リンク]


このブログの筆者について
ろっき|ジン研究家・医師。2013年より日本初のジン専門同人誌『もっとジンをおいしく飲む本』を頒布。2020年、書籍『Gin ジンのすべて』(旭屋出版)を出版、Amazonカテゴリベストセラー1位。ロンドンの蒸溜所取材や国内蒸溜所インタビューも行う。[プロフィール詳細へ/書籍リンク]